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行政書士とうきょう

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2013年12月号:特集

我が道を行く(第1回)(後編)福島県復興への道は
城南信用金庫理事長 吉原毅さん

城南信用金庫理事長 吉原毅さん

吉原さんプロフィール

1955年東京都大田区生まれ。1973年麻布学園麻布高等学校卒業、1977年慶應義塾大学経済学部卒業、同年城南信用金庫入庫。2010年から現職。自らの年収を支店長(1200万円)以下に抑え、理事長・会長任期を最長4年、停年を60歳とする経営改革を断行。

記事:新居崎邦明(品川支部)
写真:梶原恭子(広報部)

城南信金の脱原発への取り組み

脱原発のメッセージの他に、いろいろな金融商品も作られましたね。

はい。2011年5月に、「節電プレミアム預金」「節電プレミアムローン」と、節電に投資したお客さまの金利を優遇する商品を発表しました。大手マスコミに対してどうアピールするかと考えたときに、「節電にからめてこんな商品を出しました」とリリースすれば、記者も書きやすい、報道されやすいだろうと思ったのです。「原発に頼らない、安心できる社会のための商品」と、商品紹介の中にも入れました。するとマスコミの方もしだいに「自分の方針としては書けないけれど、変な奴がいるということなら書ける」という感じに変わったのです。

城南信用金庫は、全店の電力を東電からPPSに切り替えたとのことですが。

夏の節電をずっとやって、最終的には30%の節電に成功しました。それから、2011年12月には、城南信用金庫各店で使う電力を、東電からエネットというPPSに切り替えたのです。PPSというのは、東京電力など既存の電力会社以外のあたらしい電力会社のことです。政府は冬になるとまた「原発を止めると電力が足りなくなる」と言い始めました。そこでPPSから買おうと考えました。しかも、PPSの方が、値段が安いのです。お客さまからも非常に注目していただき、そのあと次々と企業や自治体にPPSブームが広がったのです。一般家庭では難しいけれど、企業であれば東電以外から電力を買うことができます(PPSから電力を買えるのは、使用する電力が「高圧」に分類される消費者のみ。一般家庭は「低圧」のため買うことができない)。

しかし、電気料金には「総括原価方式」というものがあって、いくらコストがかかっても、すべてそれを消費者に転化できてしまうのです。普通の企業なら、より安く作ろうとか、競合に負けないようにしようと頑張るのに、電力会社にはそういう企業努力をする必要がない。むしろ、お金をかけるほど利益が増えるようなところがあるから、原発のような固定費の高い発電方法を選びたくなってしまう。

屋上に設置された太陽光パネル

屋上に設置された太陽光パネル

脱原発首長会議のお手伝いをされましたね。

ええ。2012年4月に、静岡県湖西市の三上市長から、「ぜひ城南信用金庫の本店で脱原発首長会議の創立総会をやりたい」と言われ、「こちらこそやらせていただきたい」と引き受けました。この本店に約70の自治体の首長さんたち、社民党の福島みずほさんや、田中康夫さん、共産党の志位和夫さんなど、自民・民主の方も含めてたくさんの方がいらっしゃって、城南信用金庫としてもバックアップしました。脱原発首長会議では、これまで原子力に頼ってきた自治体が「福島のような事故を繰り返してはいけない」、近隣に原発があるけれど交付金は入ってこない、というような自治体が「リスクだけ背負わされてたまったものじゃない」というように、切実な声が交換されています。

復興を後押しするビジネスフェアについてお聞かせください。

脱原発首長会議はあくまでもお手伝いですが、私たちは、「原発に頼らない安心できる社会を作ろう」ということで、2012年の11月に東京ドームを貸しきって「日本を明るく元気に! “よい仕事おこし”フェア」というのをやりました。これは、全国の63の信用金庫が共同で開催したお取引先の方々とのビジネスフェアです(今年は8月に国際フォーラムで第2回を開催)。621の企業・団体が出店、来場者数は2万人近くになりました。私たちは、「ビジネスライクではビジネスは生まれない」と考えており、協同組織の考えかたからいえば、社会貢献こそが本当のお仕事につながるのだと思って、社会貢献フェアとしてやっています。まず一つは、東北を応援しよう、東北で亡くなった方々の鎮魂のためにも、東北の企業、人々を応援しようということで、全国の企業の皆さんに呼びかけました。もう一つは「原発に頼らない、安心できる新エネルギー社会」をテーマにし、鎌田慧さん、小林よしのりさん、落合恵子さんなど、20数名のさまざまな方が一堂に会して、「原発に頼らなくても世の中はやっていけるのだ」ということを話していただくシンポジウムをやりました。主義主張を超えて、平野復興大臣(当時)にも来ていただきましたし、経産省も後援してくださいました。「脱原発がイヤだから後援しない」なんてことになったら大変なことになりますからね。

復興と脱原発の二つがテーマだったのですね。

そうなのです。中小企業の方々や、そして協同組織である私たちのような金融機関だって、ビジネスをやっていくとともに、社会に対してどう貢献するかということを忘れちゃいけないと思うのですよ。そういうものが、ビジネスマンのあるべき倫理観や道徳観じゃないでしょうか。もともと信用金庫がめざすのは「人間性を回復する経済」なんだ、と思ってやっています。

福島県復興への道は

城南信金はいろいろな被災地支援活動をなさっていますね。

同じ国民として被災地の方々を見て見ぬ振りをするわけにはいきません。毎週6名の従業員が1週間泊まりこみで、「しらうめ号」という移動図書館サービスをやりました。市街地から離れた仮設住宅には、あまり人が来ない。そこに絵本、雑誌、漫画などを持っていって車でまわり、子どもたちや高齢者の皆さんに貸し出しをしています。また、いろいろなお客さまの寄付で購入したキッチンカーで、一緒にコーヒー、焼き芋、たこ焼き、ポッポコーンなどを作って差し上げています。あとは、うちの職員組合で最新鋭の通信カラオケを購入したので、現地の集会場で一緒にカラオケ大会をやっています。私たちは金融マンとして、日頃から東京・神奈川で営業活動をしておりますので、「お客さまのお話を聴く」というのが本業ですから被災地に行って、いわゆる「傾聴ボランティア」のスキルが、役に立っています。

そういう被災地の問題とならんで、原発のこともあるのだと思っています。One of Themなのです。別に脱原発のためだけにやっているわけじゃない。ただ、起こってしまった事故をごまかそうという動きがあるじゃないですか。それが納得できないのです。

企業とか金融機関というものは、いろんなお話を聞いて、審査して、「これは正しい」と思える活動に資金を出して応援する。それが当たり前です。しかし、原発というものは、どう考えても理屈にあわない。たとえば企業に融資をするかどうかを決めるときに、「実はうちの会社はこういう活動をしていて、最終的にはこうやって利益を上げて返済する計画なのです」というお話をされることがあります。私たちはその説明を聞いて「じゃあ、ぜひ応援したい」ということでお金を貸すわけです。もし原発が金融機関の審査を受けたら確実に落ちますね。

右から吉原理事長、森山広報部長、新居崎会員、益子広報部員

右から吉原理事長、森山広報部長、
新居崎会員、益子広報部員

福島県の復興のために何をすれば良いのでしょうか。

人間は幸せになるために生きているのだと思います。祖先から子孫へ連なる全部が幸せであるように、今を生きなければなりません。しかし、原発事故は、超長期の避難生活を強いることになり、人と人のつながりをずたずたにしてしまいました。帰るべき故郷も、村や町の暮らしも破壊し、隣同士が助け合うこと人への思いやりを持つことすらできなくしてしまいました。いわばコミュニティーを喪失した状態が続いているとも言えます。

隣の人と一緒に笑い合うことを取り戻す。人に思いやりを持つことを大切にする。そうして姿勢でコミュニティーの再構築を図ることが福島の復興だと思います。被災地にとって有用な情報を正確に発信する。被災者のやる気を企業化する。被災者の思いを実現する協力者として信金はあり続けたいと思っています。それを私たちは「感動創造信用金庫」「メンターバンク」などと呼んでいますが、夢と希望の溢れる世界、助け合う相互支援社会を目指しています。

福島県は帰宅困難地域がたくさんあり、帰宅困難者がまだまだたくさんいらっしゃいます。土壌の除染技術はもっともっと改良されていかねばなりません。そのためには、大企業だけではなく、地元の中小企業・メーカーが新しい除染技術や測定機器の開発をして行くことや、国を挙げてまったく収束していない原発の本当の収束のための技術や測定機器の開発も急がねばなりません。

農作物や水産物などの風評被害はありますが、支援のために食べてくれ、買ってくれはだめだと思います。GMなどの商品経済一辺倒のものではなく、消費者の立場に立った安全で安心できる商品を提供することです。

また、福島県はたくさんの観光資源に恵まれたところです。観光資源の活用、原発ではない、新しい発電ビジネスへの取り組みなど、原発事故の被災地福島県ならでの復興ビジネスがたくさん考えられるのではないかと思います。

最後に城南信用金庫のこれからと、私たち一人一人が考えること、できることは何でしょうか。

原発事故から2年半が過ぎました。人間は都合の悪いことは忘れたくなりますが、責任ある者はそれではいけません。国家の経営を行う上で、忘れてはならないものがあります。しかし、今の政治は目先しか見ていません。政府は、原発再稼働に加え、原発の輸出を進めています。一見、経済が活性化するように見えますが、他国の多くが今、なぜ輸出に積極的でないのでしょうか。事故が起きた時、巨額の損害賠償を求められるからです。輸出した原発で事故が起きたら、損害賠償請求されて日本は破綻するかもしれません。日本にはメタンハイドレートなど次世代資源の開発や省エネ技術があるし、普及もしてきています。エネルギー革命が進行しているのに、再稼働が邪魔をしている形です。新しいビジネスのチャンスが来ているのに、原発はむしろ、経済発展の芽を摘んでいるとも言えます。「自分には関係ない」ではなく、自分たちに確実に影響してくる問題なのですから、一人一人が、今日本がそして福島県がどんな状況にあるのか、このままで良いのか、どんな世の中を創りたいか、どう変えるのかを考え、皆が連携しながら、一人一人が「原発の再稼働に反対する」、「新エネルギー開発の取り組みに協力する」ことなどやもっと身近なこと、「節電をする」、「隣の人たちと笑い合う」「人に思いやりを持つ」ことなど、できることからしていくことだと思います。

ありがとうございました。

資料

原発に頼らない安心できる社会へ 城南信用金庫

東京電力福島第一原子力発電所の事故は、我が国の未来に重大な影響を与えています。今回の事故を通じて、原子力エネルギーは、私達に明るい未来を与えてくれるものではなく、一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っていること、さらに、残念ながらそれを管理する政府機関も企業体も、万全の体制をとっていなかったことが明確になりつつあります。

こうした中で、私達は、原子力エネルギーに依存することはあまりにも危険性が大き過ぎるということを学びました。私達が地域金融機関として、今できることはささやかではありますが、省電力、省エネルギー、そして代替エネルギーの開発利用に少しでも貢献することではないかと考えます。

そのため、今後、私達は以下のような省電力と省エネルギーのための様々な取組みに努めるとともに、金融を通じて地域の皆様の省電力、省エネルギーのための設備投資を積極的に支援、推進してまいります。

  1. 徹底した節電運動の実施
  2. 冷暖房の設定温度の見直し
  3. 省電力型設備の導入
  4. 断熱工事の施工
  5. 緑化工事の推進
  6. ソーラーパネルの設置
  7. LED照明への切り替え
  8. 燃料電池の導入
  9. 家庭用蓄電池の購入
  10. 自家発電装置の購入
  11. その他
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